積みプラ戦記

HGUC ローゼン・ズール レビュー

ローゼン・ズールについて

《ローゼン・ズール》はかつてアクシズのネオ・ジオンで運用されたAMX-103《ハンマ・ハンマ》のコンセプトを昇華させ、AMS-129《ギラ・ズール》をベースに開発した試作モビルスーツである。本機は当初からMSN-06S《シナンジュ》の予備パーツを流用することが設計段階で決定しており、コックピット・ブロック周辺に組み込まれたサイコフレームもそのまま採用されている。いわゆるサイコミュ搭載機ではあるが、本機は非ニュータイプの一般兵が搭乗することを前提とし、準サイコミュ装置も組み込んだサイコミュ技術のハイブリッド・タイプとして完成した。未だその全容が解明されていないサイコフレームにはニュータイプが発する感応波の送受信のみならず、一般人の微弱な脳波でも感知できる機能があり、その特性を機体制御の向上という点に特化させ、攻撃面ではOSによる機械的な補助・再現が主となる準サイコミュ装置により、遠隔操作式の兵装運用をはじめとする総合的な火器管制を担当するのである。このように一般兵士が扱え、かつ単体戦闘力が高いサイコミュ搭載モビルスーツとは、まさしく《ハンマ・ハンマ》が当初の目的としながらも叶えきらなかった運用思想であり、現在の技術力でそれを成し遂げた本機は系列上《ギラ・ズール》系のバリエーション機体という位置づけながら、その異質な外見も含めて《ハンマ・ハンマ》の後継機体と表現してもなんら差し支えはないだろう。そして《ローゼン・ズール》の開発にはもう一つの目的があった。『袖付き』と呼ばれるネオ・ジオン残党軍にとって様々な意味を含んだ新型モビルスーツ、RX-0《ユニコーンガンダム》に対抗する為の「切り札」だということである。単純な戦闘力では量れない新開発の特殊ディバイスを背部コンテナに搭載しているという話だが、サイコ・ジャマーという名称以外、現段階でその内容と詳細は不明である。

SPEC:
形式番号:YAMS-132
全高:22.5m
本体重量:25.8t
ジェネレーター出力:4,950kw
装甲材質:チタン合金セラミック複合材+一部ガンダリウム合金
武装:
インコム:一般兵士でも扱える準サイコミュ式遠隔兵装。3連メガ粒子砲を内蔵した前腕のインコム・ユニットを有線で操り、簡易的なオールレンジ攻撃を行う。方向転換時に使用するリレー・インコム(中継用のおもり)は各腕に3基ずつ連ねて収納する。
3連装メガ粒子砲
サイコ・ジャマー:背部コンテナに格納する。バラのような形状をもった特殊ディバイス。対ユニコーンガンダム用として専用開発されたが、詳細は現時点では不明。その名称から何らかの妨害装置であることが予想できるが、果たして・・・・・・?
メガ粒子砲
Iフィールド・ジェネレーター
シールド:中央部にIフィールド・ジェネレーターを内臓しており、Iフィールドによる防御機能だけではなく、周囲に配置する3門のメガ粒子砲をそれぞれ偏向させた拡散照射も可能。材質はガンダリウム合金を採用している。 (組立説明書 機体解説より抜粋)


機動戦士ガンダムU.C.における袖付きの中ボス的存在。きっと発売時点ではこの機体の特殊兵装であるサイコ・ジャマーは謎の新兵器扱いだったので、組立説明書ではもったいぶった書き方をしているが、要はサイコミュ遮断兵器だ。ジャミングシステムです。これによって敵機のサイコミュ兵装を無力化する。
そしてこの中ボス機としては完璧な存在だと思うのは僕だけだろうか。パイロットのアンジェロのキャラクターをそのまま引き写したかのようなグロテスクなデザイン。胴体と足はたしかにギラ・ズールだが、随分なアレンジである。足が細長いのに腕が極太なのでバランスの悪さって言ったらない。いや、いいですね。悪趣味すぎて好きです。このキットで話題になったのが成形色がパッケージや組立説明書の写真と全然ちがうこと。ピンクのほうは設定色に近いですが、紫であるはずのパーツの成形色はどう見てもあずき色。パチ組で終わりにする人ににとってはこれではイメージと離れてしまいます。なぜこうも違った色で製品化されたのかはいまいち分からないのです。ちなみにローゼンズール改修型のEP7バージョンのキットでは成形色がきちんと設定に近いものになっていました。できなかったわけではなさそうだけど、なにかのミスでしょうか。塗装することで設定に近いカラーにすることはできるが、どうしても塗装できない環境の人は、EP7バージョンを購入すれば、そちらの余剰パーツでノーマルタイプにすることもできるらしい。僕はせっかくなんで塗装してみようと思っております。まずはこのあずき色バージョンで作りの確認をしよう。

全体を正面から。巨大な肩とアイアンネイルが上半身を大きくしている反面、下半身は細くすらりとしているアンバランスな体形。さらに、足はなぜかハイヒール状なので自立させるのがかなり難しい。ポリキャップパーツが少しへたるとグニャグニャになるのですぐパタンと倒れる。

背面。プロペラントタンクとサイコジャマー格納部が装備されている。メインスラスターはどれなのかが分からない。

足はこのようにハイヒール。ものすごく安定性が悪いのでアクションベース等を使ったほうが飾るには適している。

サイコジャマー発射機。発射機自体も花のつぼみを意識したデザインに見える。

インコムを展開した状態。これを撮影したいがために、作らずに放置してたインコム部分を改めて作ることにした。やってみて解ったけど、動きが生まれるので非常によく見えるね。

インコムのワイヤー部分の組立はHGUCのパチ組みとしてはなり面倒くさい。その分出来上がったときは模型的にも見映えがする箇所です。

サイコジャマー。バラをイメージしているのは間違いないが、予算も人員も限られている反政府武装組織でここまで自分の意向を反映させるお偉いさんってはっきり言って周りが見えてないだろうな。


Last updated: 20 Aug. 2023