積みプラ戦記

HGUC クシャトリヤ レビュー

クシャトリヤについて

クシャトリヤは、第一次ネオ・ジオン戦争(ハマーン戦争)時に実戦投入されたNZ-000クィン・マンサをベースとし、そのスペックを維持したままでの 小型化をコンセプトとして開発された機体である。クィン・マンサ自体、当時の技術によって"最小化"された機体であったが、多くの機能を盛り込んだ 結果、40m級の巨大MSとなってしまい、非常に運用しづらい機体となっていた。その後のサイコフレームをはじめとする各種デバイスの高密度実装技術や ノウハウの蓄積があって初めて、クシャトリヤは20m級の機体として完成することができたのである。サイコフレームはコックピット周辺を中心に構造材 として使用されており、機体の小型化に大いに寄与しているものの、第二次ネオ・ジオン戦争(シャアの反乱)後のネオ・ジオンにはサイコフレームを独自 に生産する能力はなく、本機はほぼワンオフの機体となっている。本体に匹敵するボリュームを持つ4基のバインダーは、メガ粒子砲塔、ファンネル・ コンテナ、Iフィールドジェネレーター、フレキシブルスラスターなど複数の機能を併せ持ち、バインダー自体もAMBACユニットとして機能するほか、 ファンネル回収の用途を持つ。サブ・アーム(いわゆる"隠し腕")には小型ビーム・サーベルが内蔵されており、近接戦闘においてもオールレンジからの 対応ができる。専用のオプション兵装として、ビーム・ガトリングも用意されていた。

SPEC:
形式番号:NZ-666
全高:22.3m
本体重量:29.7t
全備重量:74.02t
ジェネレーター出力:16,540kw
装甲材質:ガンダリウム合金
武装:
胸部メガ粒子砲、バインダー部メガ粒子砲→ミノフスキー粒子を圧縮したメガ粒子を射出するビーム兵器。胸部に4門、4基のバインダー部に2門ずつ装備されて おり、バインダー部の計8門は 自在に動くため、死角がほとんど存在しない。
Iフィールドジェネレーター
ファンネル→基礎構造はキュベレイ系のものに準じているが、機動性はより向上しており、デブリと誤認されるほど小型化されている。バインダーでエネルギーと プロペラントの リチャージが可能。
ビーム・サーベル→両手首の内側に収納されており、収納時はビーム・ガンとしても機能する。
マシン・キャノン→胸部に内蔵されている固定装備。実体弾を連射し、主に近距離での牽制に使用される。
その他:
バインダー→2門のメガ粒子砲を装備し、6基のファンネルを収納するコンテナ、Iフィールドジェネレーター、スラスター、サブ・アーム、プロペラントタンク などを内蔵する 複合ユニット。
サブ・アーム→バインダーの先端に装備された簡易型のマニピュレーター、ノイエ・ジールなどと同様、小型ビーム・サーベルを内蔵する。
(組立説明書 機体解説より抜粋)


HGUCにおけるガンダムUCシリーズの長い道のりはここから始まった。シリーズ第一弾がジオン系大型MSのリリースで少々驚いたものだ。だが、こ のクシャトリヤは準主役ともいうべき重要な位置付けの機体であり、物語の根幹を体現した存在とも言える。 シリーズ最初の機体としてまさにふさわしい。

クシャトリヤの機体は特徴にあふれたデザインをしており、キット製作をしていてもいつもと違う作りを堪能できて楽しかった。 その数多くあるクシャトリヤの特徴の中でも最も大きく目立っているのが機体の覆っているように配置されている4基のバインダーだろう。バインダーとい うのはガンダム世界オリジナルの機材名で、重心移動による姿勢制御に用いる可動ユニットとでもいえばいいだろうか。冒頭に組立説明書の機体解説を抜粋 してみたが、バインダーの説明はなかった。どうやら、ガンダムファンなら知ってて常識レベルの用語らしい。とはいえ、これはやや問題だ。初めてガンダ ムの世界に飛び込んだ人にとっては不親切極まりない。いずれガンダム用語集みたいなものもこのウェブサイトに作るか。時間があればだが。

要は水中で体の向きを変える時に手なり足なりを振って反動を利用するわけだが、それを宇宙空間でMSもやっている。そして、手足以外にも重量のある パーツを動かしてアポジモーターの燃料を節約しながら姿勢制御をするための部品ということだ。羽の形をしていることが多い。このクシャトリアには本体 の大きさに匹敵するくらいのバインダーが4つも付いている。そして、そのバインダーには主兵装のファンネル、隠し腕が内蔵されており、ウェポンベイと しての役割も果たしている。

クシャトリヤのキットでもこの4基のバインダーがものすごく表情を与えてくれる。がっちり閉じたり大きく開くとまるで花のように見える。F91に出 てきたMA「ラフレシア」を彷彿とさせる。時代設定的にはF91の方が後になるが。

クシャトリア本体はというと、ジオン系のオーソドックスなデザインと言える。頭部のトサカがちょっと大きすぎる気がするがゲルググ系のおなじみの顔 である。やはりこの機体の特徴は4枚のバインダーである。バンダイもそこを正しく理解しているのだろう、バインダーを支えるフレームにはきちんとロッ ク機構を組み込み、様々な角度で固定できるようにしてある。

クシャトリヤは劇中で最も壮絶な戦いをする機体である。ファンネル搭載機という高性能を誇りながら、それをはるかに上回る高性能機である、ユニコー ンガンダムに序盤から一方的に蹂躙される。物語終盤に改修され再度戦線に復帰するものの、ユニコーンガンダム以外にもバンシィ、シナンジュといった機 体が飛び交う戦場では劣勢になりがちで、凄惨な最後を遂げる。その満身創痍ながらも奮闘する姿こそがクシャトリヤの最大の見せ場であり、魅力だと思 う。それを為しうるだけの包容力を備えているのは物語の中でもこのクシャトリヤだけだろう。模型では、そういう姿を表現してみたい。


Last updated: 31 Dec. 2022