コラム No.5 レビューサイトの形

ウェブサイトを作るのは思いの外手間がかかる。ブログやSNSサイトに記事を投稿するのとは違い、写真一枚掲載するのにも毎回画像サイズを変更したり、ウェブサイトのレイアウトを決めてタグを打つ。そして、保存後にブラウザで表示させて確認しなければならない。慣れていないと1サイトを作るだけでも結構な時間がかかる。自分のウェブサイトの形が少しずつ定まってきた感があるのだが、改めて自分のサイトの位置付けというか、なにがやりたいかを考えてみる。

模型を扱っているウェブサイトやブログはそりゃあもう沢山あるのだが、よく見かけるのはいわゆるレビューサイトというものだ。主に新商品をいち早く紹介・評価するコンテンツで、いつでも目につくところに通販サイトへのリンクが貼ってある、というあれだ。「ガンプラ レビュー」で検索をかければまず最初にこの形式のサイトがヒットする。僕も当初はこういった形のサイトを作っていくつもりだった。というか、そういったサイトがよく目につくので他の形というものが想像つかなかった。

しかし、その方向性は早々に諦めた。僕のような積みモデラーにとって新商品を次々と組んで紹介するというのはとても無理な話だし、そもそも気に入ったモノをじっくり長く楽しむタイプだ。気に入ったものは複数買いもする。スピードを競ってレビューをしてというのは自分の趣味に合わない。アフィリエイトの収入には少しだけ魅力を感じるが、それが目的でウェブサイトを作っているわけでもない。

それに、アフィリエイト広告の収入を前面に押し出すと、通販サイトへ誘導することが主な目的となるために、内容が偏ったものになる。商品購入サイトへ誘導するという目的を考えれば、レビュー内容は商品を褒め称えた無難な内容に偏るだろうし、新発売の商品ばかりを扱うことになる。結局、既に存在する他のレビューサイトと同じ様なものが出来上がるだけだ。

玩具やらプラモやらを収集するようになってから知ったことだが、この手の商品は店頭もしくはネットで販売している期間が思いの外短い。自分の体感ではそこそこの人気商品なら半年くらいで店頭から消え、あとはネット通販で在庫があるのみ。それも1年くらいで消える感じだ。売り切ってなくなるのだろうが、再販がかかるかはメーカー次第。ガンプラは圧倒的な人気商品ゆえか定期的に再販されるので何年も前のものでも常に購入できるが、これは例外と言っていいだろう。買わずに後悔するよりも買って後悔しろなんてコレクター名言がある理由もこのせいだ。レビューサイトが挙って新商品を扱い、市場に商品があるうちにアフィリエイト広告収入を得るという流れが多いのはこのような背景事情があるからだ。

あくまで自分のペースで自分の好きなことをやりたい。だから、レビューはするけどレビューサイトにはしない、と決めた。自分が気に入ったものを好きなだけ弄って、その自己満足をひけらかすサイト。つまり自分のコレクションを自慢するウェブサイト。それがこのウェブサイトの方向性だ。新作にこだわる必要もないし、時間に追われることも他のサイトの動向を気にする必要もない。だから、ホームページの最初に、研究・検証をするサイトだと明記した。同じアイテムを好きなだけいじって、何度でもページに登場させてやろう。今あるレビューサイトがメーカーの宣伝補助のような存在なら、僕は批判も文句もとことんいってやろう。今はそのように考えてウェブサイトを制作している。

ウェブサイトのあり方をどうすべきか、ということがなかなか言葉にできなかったのでメインコンテンツであるはずのガンプラ、アクションフィギュアのレビューをずっと後回しにしていたわけだが、今回のコラムでようやく方向性を決めて明記することができた気がする。そして、もう一点考えてみたいことがある。

それは、作品そのものを知らないのにプラモをレビューすることの是非についてだ。2ちゃんねるでよく叩かれているレビューサイトがある。そのレビューサイトが叩かれている理由は、アフィリエイト目的で新商品を片っぱしから購入してレビューをしているのだが、作品知識がないにも関わらずレビューするのでいわゆる「知ったかぶり」で間違いを起こし、それが作品のファンの逆鱗に触れること。そして他の同業サイト等から写真の構図や文章なんかをパクってきて、堂々と自分がオリジナルのように掲載していることだ。作品知識のない点を劇中再現がないと叩いている人もいるようだ。

パクリ行為が叩かれるのは当然のことなのでそのレビューサイトが批判されるのは当たり前なのだが、原作を知らないのに模型を買うことや劇中再現をしないことを非難するのは少し疑問に思う。好きな作品をろくに知らない人間に簡単に扱って欲しくないという気持ちはわかる。ファン心理として。だが、作品を知らなかったとしても、気に入って模型を購入して何が悪いのか、とも思う。僕だって原作を知らなくても見て気に入れば購入する。正直、どちらの言い分もわかるので、なんとも複雑な気持ちになるのだ。

少し整理して考えてみよう。ファン心理として、よく知らないのにレビューするなという意見に対する僕の意見だが。シリーズ化されて、今現在も続いているロボットアニメシリーズとしてはガンダムやマクロスなどがすぐに思い浮かぶが、これらはもう30年以上の歴史を持っている。作品を知らないのに云々という人は大抵リアルタイムで観て、長い間ファンだった筋金入りな人なのだろうと勝手に推測するが、ということは40歳以上の人なわけだ。随分、狭量な中年ではないか。

最新作から入って、過去作に興味を持ち模型を購入するというアプローチ方法に果たしてなんの問題があるのだろう。それに、そういった歴史ある作品では、シリーズの歴代キャラクターを登場させたオールスター系のゲームが出るのもいまや一般的だ。そこに触れるだけでも十分過去作品の魅力を堪能したと言えるのではないだろうか。何もオリジナルの古い映像を必ずチェックしなければならないとは思えない。初代ガンダムのTV映像をいま見るとやはりストーリーの秀逸さや名場面を見て感動を覚えると同時に、古臭さも感じてしまうのだ。

オールスター系のゲームを定期的にリリースしているあたり、メーカーもそういったものから旧作品に触れて欲しいという意図があるとみるのが自然だろう。オリジナル作品を知らなくても、そこに魅力を感じるならば十分ファンの資格があると僕は思う。模型レビューでの劇中再現は思い入れがあるならやればいいし、オリジナル作品を知らないなら無理してやる必要はない。それだけのことだと僕は思う。

フィギュア系のレビューサイトに決して特異な価値基準があるわけではなく、パクリ行為は嫌われるという当たり前の世間一般の判断があるだけだと思いたい。そうではなく、あくまで原作準拠の狭い価値観のみが許容される世界だというのなら、喜んで論戦を挑む覚悟だ。まあガンダムファンには特に原理主義者が多く、狭い価値観が横行しているから、自分のような異端者はあまり認められないのかもしれないが。

Last updated: Oct. 20 2015