コラム No.3 ロボットトイ

このサイトのメインコンテンツでもある、ロボットトイについて。ここでは、ガンダム関連の商品に関して書いてみよう。

プラモを綺麗に組んで、色も塗ってというのはなかなか手間のかかる作業だ。その辺の面倒な作業工程を一気に飛ばして、いきなり完成した状態のモデルが手に入るというのがロボットトイの最大の魅力だろう。

ガンダムのロボットトイは僕が小さい頃からあった。中学生くらいの時に、購入はしなかったがHCMシリーズは店頭で見かけたことがある。それ以降は、ガンプラは定期的にリリースされているものの、ロボットトイの類いはあまり見かけなかった。それが、2000年くらいからガンダムのロボットトイが爆発的にリリースされた。おそらくプラモを作れなくなった(仕事で忙しかったり、手先や視力が衰えたりして)ガンオタをターゲットにしたであろう商品が目論み通り大ヒットしたのだ。

代表的な商品シリーズとしてはMIA(MS IN ACTION)と、G.F.F.(GUNDAM FIX FIGURATION)が挙げられる。

MIAはゴムに近い素材で造られており、見た目のシャープさはないが頑丈にできており名前の通りアクションを楽しむ事ができるシリーズだ。他方、G.F.F.は見た目にこだわり一種のデザイナーズブランドをコンセプトとしている。渋い外観と雰囲気が魅力だが、シャープな造形を実現するためにPVCを素材としている。この硬い素材が原因で、ポーズを付けるのは得意ではない。この2つの代表シリーズに加え、様々なニーズに合わせた商品がリリースされていた。当然、この時期僕もよく大型量販店でこれらのロボットトイをよく見かけており、気になる物はいくつか購入してみた。様々なブランド名を持つアイテムを手にとって悟ったことは、ロボットトイの選定は「諦めが肝心」だいうことだ。

ロボットトイにはその商品シリーズによってコンセプトが異なる。見た目重視、アクション重視、コレクション性重視とかいろいろ。そして、全ての要求を満たす商品というのはなかなか存在しない。シャープで美しい造形でかつ、アクションポーズも自由に決められて、種類も豊富。理想なのだが、そう簡単には出てこない。

僕は最初からMIAについてはスルーした。ロボット物のフィギュアなのに質感がゴムっていう時点で無理だ。というわけで実際購入した事は無いが、店頭でパッケージ越しに確認する限り、アンテナが曲がっていたりと品質もそんなもんだろうというレベルだったんじゃないかと思う。ただ、ガシガシいじってもなかなか壊れないだろうことは予想できた。

G.F.F.についてだがこちらはいくつか購入した。最初に購入したのは確か、ジムスナイパーカスタムだったと思う。当時は、上記のようにロボットトイが大盛り上がりの時期であり、2ちゃんねるのおもちゃ板にもいろいろな情報が載っていた。これらガンダムのロボットトイの生産国は中国で、塗装は職工のおばちゃんの手作業なので品質にはかなりばらつきがあるので店頭での選定が必須らしい。実際、店頭でチェックしてみたら確かに品質のばらつきは相当にあった。塗装がはみ出しているのはもちろん、ガンダムのV字アンテナが傾いた状態で接着されていたりというのも珍しくなかった。当時、大型量販店の玩具コーナーのG.F.F.置き場では、キモオタが人目も憚らず山積みしてあるG.F.F.の中から少しでも出来がいい奴を選定していたものだ。他の選んでる人の邪魔をしたり候補として確保したものを通路に置いたりして、周りからひんしゅくを買っているのをよく見かけた。キモオタは気持ち悪い見た目も奇異な行動も軽蔑されて当然なのだが、このG.F.F.の店頭選定せざるを得ない状況そのものは完全にバンダイの責任だろう。不良品なんて誰だって買いたくはないのだ。実際に僕も購入する際は、せめて頭部のアンテナが曲がってないモノをと、選定せざるを得なかった。そこまでえげつなくやってないけど、選定するのは結構恥ずかしかった記憶がある。

それでも、品質がよければ素晴らしい造形で、G.F.F.のスナイパーカスタムは本当に格好よかった。だが、可動については全くの不得手だ。これは美少女フィギュアのような固定モデルにも使用されるPVCという硬質な素材でできていることが理由だ。関節部分に可動域を設けてあっても硬い素材同士のためか摩擦抵抗が少なくて、望む通りの位置に固定するのが難しい。そもそも、関節の可動域自体もかなり狭いのででダイナミックなポージングは無理だ。さらに厄介なのは、触る度にあちこちのパーツがポロポロと落ちて非常にストレスが溜まる事だった。このシリーズは別のモビルスーツに換装できるアイテムが多く、フレームに外装パーツを取り付けている構造になっているのだが、やはり硬いPVC同士をピンではめ合わせてあっても摩擦抵抗が少ないためにパーツの固定が甘く、すぐにいろんな所からパーツが外れてしまうのだ。

まともなポージングをするのに非常に時間がかかり、どうにかこうにかポーズを決めて飾るとポロリ地獄が嫌でしばらくは触りたくなくなる。上述したように関節の可動域は全然たいしたことないのでダイナミックなポーズなど到底無理。武器を構えさせるのも難しいので、突っ立ったままの状態で飾るのが無難ということになってしまう。もちろんそれでも充分格好いいのだがやはりロボット、それも戦闘用という設定ならばいろいろ構えたりさせたいのが人情ではないか。

上記のように、この2つのメジャーブランドがコンセプトを明確に絞っていた。他にも異なるコンセプトとタイトルを引っさげた商品は数多く現れたが結局の所、造形重視かあるいは可動重視かが大きなポイントといえるだろう。この2つはロボットトイにとって、どちらも満たすべき必須の条件なのに両立できない。理由は技術的な限界とコストだろう。造形と可動を両立させることは当時の技術でも可能だったかもしれないが、ただでさえプラモと比べてだいたい2〜5倍くらい高い価格帯の商品が、がさらに値が上がるとなるとさすがに購入層は限られてしまう。

妥協は商業が成り立つためには当然のことかもしれないが、趣味の品、ましてやパッケージを開けた瞬間から自分のお宝になり得ると期待しているユーザーからすれば、こういった妥協点が我慢ならない事も多いのだ。

結局、ユーザーは自分の嗜好に合わせたアイテムを「妥協して」選ぶことになる。その上、モノによって塗装が汚いとか、造りが雑といった品質の低さがあると、さらに我慢を強いられることになるのだ。全てを満たしたガンダムのロボットトイが欲しい。これは、プラモを上手く作れないガンオタの永遠の夢だろう。

そんな思いを持って定期的にホビーショップへ通っていたわけなのだが、2002年にかなり理想に近い商品で発売された。それが「可変戦士Zガンダム」という商品だ。


kahensenshi

商品タイトルがかなりぶっ飛んでるが、その通りゼータガンダムがウェーブライダーに変形可能なロボットトイで、造形かアクションかだと、アクション寄りとなる。これを店頭で偶然見かけて以降、長い間お気に入り玩具として手元に置いていた。とはいえ、この「可変戦士ゼータガンダム」にもしっかり妥協しなければならない欠点はあった。まず、なんといってもウェーブライダー変形時、横から覗くと下部のシールドと胸部の隙間から頭部が丸見えという謎仕様な点。それから、地味に辛かったのが顔面のパーツがなぜかゴム製の素材で作られていたこと。他のパーツはちゃんとプラスチック製なのに、何故に最も大事な顔パーツだけがゴム製なのか。そのためか、時間が経つにつれてその部分だけが黄色く変色してしまった。再塗装もできず、黄ばみもどうやったら除去できるかわからないので、顔面だけ黄色くなってもなす術がなかった。

しかしながら可動もまあまあで、なにより耐久性があって安心して遊べるという点はプラモにはない魅力なので、予備用を購入してストックしたり、ティターンズカラーやグリーンダイバーズカラーといった限定カラー版もゲットして大切にしていた。ちょうどその頃(2002〜2010くらい?)は完成品モデルが流行していたのか、数多くの商品がリリースされていたが、自分の中ではこの可変戦士を上回る商品はなかなか見つからなかった。SHCM-Proが世に出てくるまでは。

SHCM-Pro

元々このシリーズは、HCM-Pro(High Complete Model Progressive)の名前で1/200完成品プラモデルとしてリリースされた。精密さと、1/200という集めやすいサイズが売りで、ラインナップも充実している。一時期は大型量販店の玩具コーナーの一角に多数並べられていた。そして、1/144にサイズアップしたハイスペックモデルがSHCM-Pro(Super High Complete Model Progressive)だ。

1/200のHCM-Proに関しては僕はスルーしていた。元来所有しているロボットトイやプラモとサイズが異なるため、合わせづらいというのが理由だ。ただ、店頭でHCM-Proを見かけて手に取る度に気持ちが揺れた。それくらいによく出来ていた。

そして、たまたま買った模型雑誌でHCM-Pro 1/144版の試作品の記事をみつけた。シリーズ最初のアイテムは例によってRX-78-2ガンダムなわけだが、全身ハッチオープン、全身可動、コアファイター分離、多数の武器付属と、欲しいもの全部つぎ込んだアイテムだと書かれていたから、そりゃあ興奮もする。実際、この記事を見た瞬間から、購入する気満々で模型雑誌でその商品開発の進捗を見守っていたのだ。そして、2007年6月に発売。定価7,140円。

可動、造形どちらも兼ね備えた理想的なガンダムのロボットトイだった。唯一の欠点はその価格。僕はこの長年待ち望んでいたアイテムにお金を出す事を躊躇わなかったが、やはり気軽に出せる金額ではない。

ガンダム、ザクⅡ(シャア専用、陸戦型)とリリースされ、どういった広がりを見せるかと思ったらいきなりガンダムエクシア。そして、ユニコーンガンダムを最後に途絶えてしまった。高価格がネックとなり、売上がイマイチだったか。ちなみこのユニコーンガンダムは定価が10,290円だった。

この後、価格を抑えたアクション寄りのアクションフィギュア「ロボット魂」という新シリーズが発売され、それとは別に「METAL BUILD」というSHCM-Proよりもさらに高価格のハイエンドロボットトイが発売されている。

ユーザーニーズに合わせた様々なグレードのアイテムが発売されているのは昔も今も同じだが、価格やコンセプトの幅がさらに広がり、気軽に遊べるリーズナブルなアイテムと一部の熱心なマニアしか買わないようなハイエンドモデルという二極化の様相を呈しているようだ。

昔よりもお財布の中身が不自由になってしまった為にハイエンドモデルに手を出せるはずもなく、かと言って今さらチープなロボットトイを買おうという気にもならず、今も最もお気に入りのSHCM-Proをいじって楽しんでいる。

Last updated: Jan. 26 2015