積みプラ戦記

SHCM-Pro スーパーハイコンプロシリーズ

SHCM-Pro ザクⅡ(陸戦型)

SPEC:
形式番号:MS-06J
全高:17.5m
本体重量:56.2t
全備重量:74.5t
ジェネレーター出力:976kw
装甲材質:超硬スチール合金
武装:
ザク・マシンガン(M-120A1)
ザク・バズーカ(H&L-SB25K/280mmA-P)
ヒート・ホーク(HEAT HAWK Type5)
マゼラ・トップ砲(ZIM/M・T-K175C)
3連装ミサイル・ポッド(Zi-Me/Triple Missile Pod Mk.IV)
クラッカー(MIP-B6)
シュツルムファウスト
(組立説明書機体解説、Wikipediaより抜粋)
※スペックにある数値は、各文献によってばらつきがあります。長い歴史を持つガンダムの中でも最初期からずっと登場をしてきたザクⅡらしいエピソードとも言えます。ここでは、SHCM-Proの取り扱い説明書に明記された数値を拾って掲載することにしました。

発売時期は2008年7月。

スーパーハイコンプロ、第三弾としてリリースされたのがMS-06J ザクⅡ(陸戦型)です。第二弾のMS-06S シャア専用ザクの単純な色変えモデルではなく、ちゃんと違いを作りこんであります。そして最大の売りは豊富な武装セット。そしてこれらをきちんと収納して飾れるディスプレイセットも付属。欲しいものが全部入りのセットといっていいでしょう。発売時の価格は8190円でした。

《外箱》

商品ページにあった外箱イメージを仮置きしておきます。保存してある予備機は外箱もありますが、押入れの奥から出した際にちゃんと写真撮影をしてアップロードします。

《本体》

本体外観について。SHCM-Pro第2弾として発売されたシャア専用ザク MS-06Sと陸戦型ザクでは、いくつかの箇所において変更が見られます。背部ランドセルのスラスターの形状が宇宙仕様のS型に比べると小型化しています。また、S型には両脚の足首付近に姿勢制御スラスターが装備されていますが、J型はこれが省略されています。ヘッドユニットの角飾りはS型はシャア専用機ということもあり当然付いていますが、J型は一般兵士用モデルなのでありません。形状の違いとしてはそれくらいです。カラーはもちろんですが、マーキングもきちんとS型とは違うデザインのものが貼られてます。

全身を前と後ろから。かなり精巧に造られているのがわかるでしょう。塗装はメタリック調で光沢があります。スタイルは今風のスマートな感じにしつつもザク本来の武骨さもしっかり出てます。

SHCM-ProザクⅡの本体に組み込まれているギミックについて紹介していきます。胸部前部装甲ハッチ開閉、左胸コックピットハッチ開閉が再現できます。モノアイも左右に動かすことができます。

コックピットハッチを開き、マニピュレーターでパイロットの足場を用意したシーン。整備ドックから離れた場所だとこんなシーンもあったのではないかな。

モノアイの向きを変更するためにはヘッドユニットを外しして、内部フレームの頭頂部にあるマイナス型のくぼみを左右に回すことでモノアイも動きます。付属のヒート・ホークの柄の部分か、ザク・マシンガンをディスプレイベースに据え置く時の補助具が調整用ツールを兼ねています。モノアイを横にずらすと表情がつきます。一気に臨場感が湧きます。

塗装について。落ち着きのあるマットパール塗装が施されています。SHCM-Proの塗装は同時期に発売されたガンダム系アクションフィギュアの中でも飛び抜けて美麗でした。うちにあるこのザクⅡは購入した2008年7月から、実に16年間ディスプレイケースに入れられることもなく飾られてますが、綺麗な状態のままです。色褪せも剥げもありません。しっかりした美しい塗膜となっています。

アクションフィギュアといえば関節の可動範囲がどれくらいあるのかもバリューポイントです。

肘と膝の可動範囲はこれくらい確保されています。このポーズでも自立できています(写真左)。
股関節の開き具合。腰部サイドアーマーが支柱を介して上にはね上げられる構造になっているのでザクのミニスカートのように股関節を覆っている装甲があってもこれくらい股開きを実現できます。旧来のデザインを破綻させずに可動範囲を確保することができています(写真右)。

《武装》

SHCM-Pro ザクⅡ(陸戦型)の最大のセールスポイントは付属する武器が豊富という点です。ザク・マシンガン、ザク・バズーカ、ヒート・ホーク、マゼラ・トップ砲、3連装ミサイル・ポッド、クラッカー、シュツルムファウストが付属。およそザクⅡが装備してた武器は網羅されています。ここまで武器を揃えたモデルはあまりないのではないでしょうか。武器モデルも精巧に作られています。グリップの可動ギミックやコーションマークの印刷もされています。ザクの手にはこのように手に凸状の突起がついており、武器側にはこれに合う穴が設けてありここではめ合わせてホールドします。

ヒート・ホーク

ザクⅡ他、ジオン系MSの近接戦闘用兵装。ザクの象徴的な武装です。なぜこんな前時代的というか野蛮な感じの斧型にしたのか。アニメ制作の事情としてはガンダムの騎士のイメージとの対比で闘士の武器としてチョイスしたんじゃないかと想像できますけど、それにしても物々しい。設定的には高熱と高周波振動によって切断する仕組みですが、その切断力を増強するためにも重量をもって叩きつけて威力を増すために斧タイプにしたと解釈しています。

ヒート・ホーク。型式はHEAT HAWK Type5とのことです。陸戦型のJ型に使用されていたというものです。モールドも細かく入っていて精巧に作られているのがわかると思います。

武器の保持はこの手のひらにある突起が武器グリップにある凹部にはまって保持されます。

ヒート・ホーク自体はコンパクトで片手で扱う武器なのでポージングはとても楽です。ちょっと構えるだけでばっちり決められます。高熱を発生させ ている状態を表現するクリアパーツも付属しています。そう見えなくもない、かな。でもあると嬉しいオプションパーツです(写真右)。

ザク・マシンガン

ザクⅡの主力兵装であるザク・マシンガン。ソ連製のマシンガンを彷彿とさせるデザインです。上部にあるドラムマガジンは取り外しができます。このザク・マシンガンのスペック設定は突っ込みどころが満載で、架空兵器だし適当でいいだろという時代背景はあったにしろなかなかに頭の中で困らせてくれる代物です。何のことかというとこのマシンガンの初速が200m/sという超低初速弾な点と口径が120mmという点ね。同じ120mmの戦車砲の初速は1,580~1,750m/s。同じ1/144スケールの戦車とザクⅡを並べてみるとザク・マシンガンの銃口の穴と戦車の砲身の太さが全然違う。ザク・マシンガンの口径はもっとずっと大きく見えます。あまり気にしないで優しい気持ちで見てあげる必要があります。

SHCM-ProザクⅡに付属するザク・マシンガンです。マガジンと銃身にマーキングが施されています。左右どちらの手でも持てるようにスコープとフォアグリップは可動します。手のひらの突起でホールドしてますので指を離してもこの通り。実際はちゃんと握ったようにするためグリップに密接させますけどね(画像右)。

ザク・マシンガンは最も標準的な装備ということもあって、飾ったりポージングさせて遊ぶときにはいつも装備させていました。手のひらの突起とそれがはまるザク・マシンガンのグリップの穴が摩耗・変形してはめてもゆるゆるの状態です。特にグリップの穴のゆがみが進行してます。そのこともあって、さすがにゆるゆるで手に保持することが難しくなってきました。16年も経っているから仕方ないのかもしれません。例によってパーマネントマットバーニッシュを少量塗布することで保持力が戻ります。ただし、白いカスが手のひらに残るので若干見た目が汚くなります。とはいえプラモデル用接着剤で穴を狭めたり、突起を膨らませたりというのはかなり繊細な部分だけに調整に技術力が必要かと思います。
SHCM-ProザクⅡでは両手でザク・マシンガンを構えることが可能です。ただしストックが腕と干渉してポージングはかなり制約が多いです。まず、手首関節はそこまで動かないので、マシンガンを構えたときにストックを肩に当てることはできません。上腕部に当てて構えさせることになるので、スコープごしに狙うポージングをさせるためには各所の関節を微調整していくのでちょっと大変です。その間にマシンガンがポロポロ落ちてイライラすることも多々。スコープは可動して反対側にすることもできるので左手に装備して同様にスコープごしに構えさせることもできます。

ザク・バズーカ

ザクⅡのもう一つの主要な武装がこのザク・バズーカです。ザク・マシンガンの火力不足を補う装備です。元々は対艦用兵装として開発されたもので1年戦争初期のルウム戦役ではザクⅡC型は核弾頭をこのバズーカで使用しました。そういう背景ストーリーを織り交ぜるとかなり強力な火力兵装だとイメージできますね。口径は280もしくは240mm。装弾数は単発式か5発式か諸説あるのもまた歴史があるこそです。

ザク・バズーカ単体の画像です。グリップは基部で前後に可動式となっていて構えるときに調整しやすい構造になっています。フォアグリップは砲身に対して左右に可動しますので両手保持の調整がしやすいです。スコープも同様に可動式。コーションマークのタンポ印刷も施されています。手のひらの突起に固定させるので安定してホールできます。僕の持っているものはバズーカのグリップの劣化がまだ少ないのでしっかり保持できてます。

バズーカを構えた図。両手保持で構えさせることができます。肩に乗せて構える方式なのでショルダーストックの干渉に苦心するザク・マシンガンより簡単にポージングできます。スコープもしっかりモノアイの前に持ってこれるし、きちんと構えることができます。

PS2のゲーム「ジオニックフロント」のオープニングにあったザクⅡをイメージしたポージング。人差し指が独立して可動する恩恵ですね。

バズーカグリップの穴に手の平の突起がはまる仕組みでしっかりホールドされます。

クラッカー

ザクⅡJ型が使用する手榴弾。これも付属してくれてます。人間が使う手榴弾と違って、6つの突起が飛び出たトゲトゲなデザイン。SHCM-Proではクラッカーは3つ付属しており、そしてこれを収める専用のキャリーがあります。突起の一つをキャリーのリングに通して固定することができます。キャリーは手に持たせるか、腰部ハードポイントに付けられます。

左2枚は手にクラッカーを持たせているところ。保持できるような穴はないので指で押さえているだけ。手の関節が緩ければ、パーマネントマットバーニッシュなどで、保持力を回復させておいたほうがよいでしょう。写真右はキャリーを手に持たせています。キャリーのハンドル部はザク・マシンガン等と同じように保持用の穴が開いてます。

脚部3連装ミサイル・ポッド

脛に装着した3連装のミサイル・ポッドです。火力増強のための装備ですね。MSイグルーではセモベンテ隊の陸戦型ザクがヒルドルブを追い立てるために使用してたのを僕は見ました。

SHCM-Proでは装着バンドが軟質樹脂となっておりこれで足に固定できます。この軟質樹脂パーツは劣化によって少しべた付くので埃が付きやすくなりますのでご注意。ミサイル・ポッドは分解することができ、内部のミサイルもしっかり造形されています。バラして飾ろうとする人はかなり少数派だと思いますが、こんなところまで造りこむとは。恐れ入ります。

ミサイル・ポッドの軟質樹脂は経年劣化で固く、少しべた付くようになってしまいましたが、千切れるようなことはなくしっかりホールドできています。手が当たると動いちゃいますけどね。ポージングには問題なしです。

マゼラ・トップ砲

ジオン公国軍の大型戦車「マゼラ・アタック」の砲身を携行兵器として改造したものです。マゼラ・アタックは現行の戦車と比較しても超大型戦車なので、砲身をザクが持ってもこのサイズになります。175mm無反動砲という設定ですが、縮尺的にはどう考えても大きすぎる気がします。この辺は昔のアニメなので大目に見ましょうよ。これも武器としてセットに入ってることがうれしいではないですか。

マゼラ・トップ砲の尾部は伸縮することができ、構えるときは伸ばして使用します。そして、この構え方はというと。ザクの腹部に砲の尾部を押し当て、トリガーのあるグリップと下側にあるグリップで支える方式なのです。生身の人間が同じことをやったら間違いなく内臓をダメにする気がしますが、鋼鉄の巨人だと問題ないのでしょう。

大型の遂行火器なので、それこそ拠点攻撃の重要な局面で持ち出す伝家の宝刀というところですね。

シュツルムファウスト

ドイツ語でsturm(疾風)+faust(拳)を意味する言葉の使い捨てロケットランチャー。追尾性能を持たず直線に飛翔するが、大概のMSを一発で撃墜する威力を持ちます。第二次世界大戦時のドイツ軍が運用したパンツァーファウストという名の対戦車擲弾発射器をモデルとしています。これより後のMSでもシュツルムファウストを装備するMSは散見されますが、シンプルだが信頼性のある大火力兵装はいざというときの頼りになる存在ということで装備しておきたい代物ということですね。

筒の出っ張った部分がおそらく発射ボタンだと思います。発射された弾頭の後ろはRPG-7のように羽があるかどうかは不明。マルチラックにシュツルムファウスト専用のホルダーを介してマウントできます。

ホルダーを90度回転させてシュツルムファウストを横向きにマウントすることもできます。そうすると、下の空いてるスペースに予備のマガジンも付けられます。このマルチラックを手に持って前線に向かっている感じがこの陸戦型ザクの一番おいしいシーンだと思ってます。

手に持たせるとこのようになります。例のごとく、擲弾筒にある凹みと手の平の凸部で武器をしっかりホールドできるので片手で構えることもできますが、MS IGLOOでヒルドルブに迫った陸戦型ザクは両手で構えてました。SHCM-Proではなんなくポージングできます。片方の手の突起は使用できないので筒に添えてるだけです。

これでようやく武装編が終了です。これだけの武器が同梱されていますので武器を変えてのポージングは何通りもできるので飽きることがありません。日替わり週替わりでお好みの武装をしてポージングできます。大胆なポージングをさんざん楽しんだあとはまた素立ちに戻してみます。すると改めてその質感と美しさを再認識できます。

《装甲の着脱》

機体は十分にクオリティの高いものですが、さらに全身の装甲の着脱もできます。外装を外すときは本体から垂直にまっすぐ取らないと、固定している本体のピンを折ってしまうので注意します。


全身の装甲はここまで外すことができます。胸部の両端と、脚部は足首まで。腕は下腕のみ。背部ランドセルも<写真上段>。
気を付けなければいけないのは胸部の装甲を外すときに、なるべく真っ直ぐ外すこと。硬くて難しい場合は後ろから外す。うまくやらないとピンを折ることになります。ちなみに僕は折りました。接着して補修済み<写真左下>。装甲を外した内側もきちんと塗装されています<写真右下>。

装甲を外すのはピンを折るかもしれないというリスクがあります。特に年月が経ってパーツが固着してると硬くてドキドキします。ですがSHCM-Proザクを所有しているならぜひチャレンジしてほしいです。内部構造までしっかりと作りこまれていることも是非堪能してほしいです。ピンは折れたらプラスチック用流し込み接着剤でくっつけられます。

《ディスプレイベース》

上記の本体と武器をまとめて飾れるディスプレイベースが付属しています。 両サイドのラックに銃火器を設置できるようになっています。ザクⅡと武器が丸ごとディスプレイベースのなかに整頓されて収まっている姿は実に映えます。さらにこのディスプレイベースは本体のメンテナンス状態再現にも対応しています。コードで本体とベースをつなげて外部電源による給電や、データ通信ケーブルのように表現できるというわけです。

中央がザクを配置するところで、左右の武器ラックに付属している武器をすべて置くことができます。飾る方法としてもこれ以上の配慮はないですね。ガンプラでも余剰パーツや武器類は装備してない場合は端に避けておくしかないですけど、これは装備していなくても飾れるわけですから。

機体の各所に空いている穴にコードを接続し、ベースと連結することでメンテナンス中の機体をイメージできます。腕は取り外してベースに接続できます。いい雰囲気を演出できます。

ここまでのレビュー非常に時間がかかって撮影も大変でした。それくらい遊びどころ、いじりどころ沢山です。それでいてザクとしては完成といっていいほどのクオリティの高さ。このレベルのアクションフィギュアが出たのが2008年。今から17年も前なんですからね。これを上回るグレードのアイテムは今でもあまり多くはないでしょう。このSHCM-Proザクを今から入手しようとするのはなかなか大変だと思いますが、満足度の高さは間違いなしです。もっと魅力を伝えるために今からでも写真撮りなおしたい気持ちが湧いてますが、まずはここで完了としておきます。


Last updated: 22 Sep. 2025