No.6 機動戦士ガンダムUC
機動戦士ガンダムUC。この作品との出会いは運命的なものを感じたので、一筆書いてみよう。いきなり全然違う話から始めるが、2007年当時僕はガンダム難民だった。意味わかんねー。どういう表現が一番しっくりくるか悩みどころだが、僕はガンダムファンというよりもガンプラファンで、ストーリーとか主人公キャラに魅せられているのではなく、ガンダムというロボット兵器に魅せられている。
僕はお気に入りのガンダムが自分独自の世界観、設定のなかで活躍する姿を想像するが好きだ。アムロにもシャアにもそれほど魅力を感じない。カミーユなんてむしろ大嫌いだ。パイロットは自分がなんとなくイメージするキャラクターで、そいつがお気に入りのガンダムを操縦して戦闘を繰り広げる想像をするのが好きなのだ。が、2007年前後はそのお気に入りのガンダムというものが失われていた時期だった。
ストーリーでもない、キャラクターでもない、純粋にガンダムというロボット兵器に魅せられている僕にとってガンプラ、そしてガンダムのアクションフィギュアの存在は大きい。製品の出来次第でお気に入りのガンダムになるか否かが決まる。これは当然のことで、映像作品に頼っていないのでモデルの良し悪しで想像の膨らみ方が違うのだから。
その頃、自分の最も気に入っていたMSはゼータガンダムで、この根拠というか気持ちを支えてくれるアクションフィギュアは「可変戦士 Zガンダム」という商品だった。 当時は諸事情からガンプラを作れる状況になかったので、もっぱら完成品のアクションフィギュアばかりを買っていた。 丁度、ガンダムのアクションフィギュアがブームの頃だったから数多くの商品が次々とリリースされていたが、なかなか上述の「可変戦士 Zガンダム」を超えてくれるようなアイテムは出てこなかった。2002年にリリースされた「可変戦士 Zガンダム」を約5年の間、お気に入りアイテムとして手元に置き、結構な数の予備機や限定カラー版も買い集めていたが、このアクションフィギュアに対しての不満もそれなりにあった。もっとクオリティの高いアイテムはないかと、暇さえあればホビーショップに足を運んでいた。そんな時にホビーショップで偶然見かけたのがMG「ユニコーンガンダム Ver.Ka」の完成見本だった。
「機動戦士ガンダムUC」という作品そのものについては知っていた。たまたま読んだ模型情報誌でユニコーンガンダムのイラストとともに小説作品であるという記事を読んでいたからだ。イラストはユニコーンモードの頭部が描かれていたのみだったが、ガンダムなのに一本角でガンダムらしからぬゴーグルタイプのアイセンサーが妙に気になったのと、著者が「福井 晴敏」となっていたのでいずれ単行本が出たらまとめて買って読もうと思っていたのだ。
MGユニコーンガンダムVer.Kaを最初に見た時、これはなかなか格好良いなと思った。そしてユニコーンモードから変身してガンダムモード(デストロイモード)に変身するというのもその完成見本で初めて知った。その一方で、触角(頭部のV字アンテナ)が随分と大きいとも思った。大きすぎる角が蛾をイメージさせたのを覚えている。そのときはユニコーンガンダムを好印象に捉えたものの、それきりで終わった。プラモ収集に熱が入っていなかったのと、MGはサイズが大きすぎてそもそもコレクション対象外にしていたからだ。
僕のお気に入りガンダムフィギュア事情は特に変化しないまま時は過ぎていった。関連する話になるが、HCM-Proシリーズが好調だったことで、1/144にサイズアップしたSHCM-Proシリーズがリリースされることになったのもこの頃だ。アクションフィギュアとしてはSHCM-Proの方が可変戦士シリーズよりもずっと精密で可動範囲も広く、これぞまさしく待ちわびていたアクションフィギュアなのだが、今更初代ガンダムをお気に入りにするのかと、妙な拒否感もあり悶々としている状態だった。いや初代ガンダムも大好きなので、いま思えばなんでそこで乗り換えなかったのかと思わないでもないが、当時はやはり可変できるZガンダムを一番に思っていたのだろう。この辺は自分なりの拘りというやつだ。このSHCM-ProでZガンダムが出て欲しいと切に願っていたのだがこの願いは結局叶うことはなかった。
そして、2009年10月に状況が一気に動く。そしてここから今に至るガンダムライフが始まったのだ。2009年10月にSHCM-Pro ユニコーンガンダムが発売された。事前に発売情報をキャッチするなり、すぐさま予約しておいた。SHCM-Proのクオリティの高さは 発売済み商品から分かっていたので、大いに期待できた。2007年に初めて見かけて格好良いと思っていたユニコーンガンダムが、1/144サイズのアクションフィギュアとして目の前にある。塗装も可動の良好さもガンプラではなかなか到達できないほどの完成度だ。これを手にした時に、自分のお気に入りアイテムを交代することにした。
このSHCM-Pro ユニコーンガンダムの発売と前後して小説版機動戦士ガンダムUCが完結しており、HGUCでもガンダムUCの登場MSが発売されるようになる。その後に展開されるOVA版とタイミングを合わせた形だ。小説を全巻一気に購入して読んだ。やや、旧作品のネタを仕込みすぎてる点がいやらしいなとは感じたが、それ以外の部分については概ね満足できるものだった。何より旧作品(富野系)に出てくるコミュニティ能力の欠如した登場キャラがうじゃうじゃ出て来ないことが、僕の安心感になった。福井晴敏の作品でよく出てくる素直な性格の青年と、過去を背負って生きる中年男の組み合わせが為されており、旧作品の薄っぺらくてがっかりするしかなかったストーリー展開にはない重みをもたらしてくれた。つまり、とても僕的には良かったのだ。過去のガンダム作品よりも満足できる内容だった。だから、この機動戦士ガンダムUC関連のHGUCガンプラをコンプリートしようと決めた。保存用も含めて1商品を2つずつの複数買いすることにした。
それから5年もの間、ガンプラはガンダムUCを中心に購入していくことになった。OVAはクオリティも高くてこちらもすべて購入しようと思っていたのだが、どうしても小説版にあった重要な部分を削った駆け足展開しているように感じた。尺の関係上、仕方がないのはわかるがダイジェスト版に思えてしまう。さらにプラモのリリースが割と頻繁だったこともあり、資金的に余裕が出てからにしようということで、現時点ではDVD購入を見送っている。レンタルでも見ないことにしている。だから、OVAオリジナルの登場MSについては、実はよくわかっていない。
最初に書いたように、僕はもともとアニメに寄り添わずにガンプラを楽しんできたので、その点ではあまり困らないのだ。そういう事情から、コンプリートするとはいっても劇場限定のガンプラは見に行かないので購入していない。プレバンのクリアモデルもイマイチ、購買意欲がそそられなかったのですべて見送った。それにしても、好調の波に乗って過去作品のMSがやたらとプラモで出てきたのには驚いた。オールドファンが多く支持したこともあって、このタイミングで過去に出し切れなかったガンダム以外のMSを商品化してしまえという魂胆が丸見えだったが、あえてこれにも付き合ってみた。いうなればお祭り気分だ。そして、毎月のようにリリースされるHGUCガンプラを購入しながらも、ガンダム作品にがっつり付き合うのはこれで最後にしようと思った。だから今回だけは頑張って付き合うと。まさかこれだけ多数の商品を展開するとは思っていなかったから、最後の方はけっこうしんどかった。
自分にとって機動戦士ガンダムUCはここ数年間のガンダムライフの中心的存在となった。そして、おそらくほぼ全面的に付き合った最後のガンダム作品になると思う。今後も続々と新たなガンダムが世に出続けるだろうが、基本的にはスルーするつもりだ。たまには従来のように見た目で判断してガンプラを購入することはあるかもしれないけれど。
自分のお気に入りガンダムフィギュアは、今もSHCM-Proユニコーンガンダムで常に手元に置いてあるのだが、いずれこれも劣化して壊れていく。複数買いした在庫が全てなくなったとき、僕はどうするのだろう。新たなお気に入りガンダムフィギュアを求めて、彷徨うかもしれないし完全に引退してしまうかもしれない。それはそのときにまた考えよう。
Last updated: Oct. 20 2015